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宝塚 新築一戸建て始めました!

住まいの中枢で、家族や家計の中央管理室の機能がある。
もう一つ、台所には見逃せない大切な機能がある。
台所で家族の親密な話し合いが生まれることが多いという。
やや囲まれた空間であることと、母親がいることが多い場所だけにさらにその雰囲気があるのだろう。
解放的なリビングではできない相談をしたり、子供たちの恩わぬ悩みを打ち明けられることも多い。
このように台所は、単に食事を用意するだけではなく、家族の重要な心の交流の場でもある。
キチンセットの前の一見無駄のように恩われる空間に、何気なく置かれたイス一つが娘や息子を救うこともあるのだ。
台所は主婦にとって、画家などのアトリエとも言える。
時にはここで日記や家計簿などもつけ、事務室や管理室の役目も持つ。
この部屋の中心的な作業台はキチンセットであり、これを高性能のシステムキチンにすることは結構なことだ。
だが、同時に台所全体の環境や機能を考えることも忘れてはなるまい。
通路幅が狭いなどがよい例だ。
二人で作業すると腰がつかえてしまうこともある。
台所が昔ながらの一間二・八メートル)幅のことが多いからだ。
これだと、壁の厚みを両側で十五センチ差し引いて、システムキチンの六十センチと食器棚の四十センチを引くと、なんと六十五センチの通路幅となってしまう。
これはいかにも狭い。
そこで、台所の外側に多少のスペースがあれば、二十センチでも三十センチでも壁を押し出してセットを移動する。
すると今までの通路が八十五センチか九十五センチの幅となり、充分な広さになる。
外壁を押し出すには、外に新たな基礎をつくり、そこに柱を立て、二気に元の壁を壊して新たな壁をつくる。
外が無理なら室内側に壁を押し広げてもよい。
後はそこにシステムキチンを取り付ければ完成。
これなら日常の台所作業を休むことなくリフォームできる。
外に押し出した部分の屋根を二重のガラスにすればトップライトとなり、明るい光が隅々まで入ってくる。
床も弾力のあるコルク張りにして床暖房や小型のファンヒーターを設置すると、より快適だ。
つり戸棚も自分の背丈に合わせうんと低くしてもよい。
キチンのカウンターを自分の好きなタイル張りにしても、石や木にしてもよい。
それが本当のビルトイン(造りつけ)キチンであり、主婦のアトリエ(台所)をつくることでもある。
ここに寄ってくる子供たちも安らぎを感じるはずだ。
開かれた台所か主婦のアトリエか、世代と家族の体質をよく考えて選ぶことから家族の円らんは生まれる。
夫婦を住まいプランの中心に十五年単位で考える夫婦の住まい家族を一人ひとりの個としてとらえ、夫婦も元は他人同士と分解して考えると、改めて家族がそれぞれの立場から見えてくる。
夫婦も、夫と妻の二人の同居生活であることに気がつく。
まったく別の環境に育った男と女が結ばれて夫婦となる。
あえて夫婦を家族とは呼ばないが、この一組の夫婦こそ、家族の最小単位にはかならない。
やがて子供が生まれ、家族らしい家族となり、妻は母親となり主婦となる。
夫婦は元のまま夫婦であるはずなのだが、なぜか夫婦のことは忘れ去られ、親子の関係が目立ってくる。
実はこれが今日の住まいのあり方や形態にまで大きな影響を与えているのだが、欧米に比べて非常に変わっている、日本の特殊な事情でもある。
欧米人は、子供が生まれても夫婦の生活が一番で、いつまでも夫婦の存在が強い。
子供たちにとっても、親たちが仲良く、夫婦としてまとまった意見を持ってくれている方がやりやすいし、おおいに参考になるはずだ。
ところが、日本では、ひとまとめで〝家族″となり、夫婦の関係よりもまず、親子関係が前面に押し出されてしまう。
夫婦から父親・母親となり、子供たちが出ていってしまうとまた、夫婦に戻る。
結婚してすぐに子供が生まれてしまった夫婦は、この子供が出ていった時にはじめて夫婦を体験することになり、すっかり戸惑ってしまうのである。
そしてやがて老夫婦となり、どちらかが欠けて一人暮らしとなって夫婦が消滅する。
こうしてみると、家族の問題とは本当は核となる夫婦の問題であり、夫婦の変化でもあることがよくわかる。
「家は三度建てないと自分のものとはならない」という言葉があるがこれは、まさしくこの夫婦の変化の過程にいかに住まいが整合できるかという反語であることがわかる。
夫婦の年代によって家族のパターンがそれぞれ異なる。
その段階ごとに適応できる住まいをつくることは、至難のわざといえる。
では、夫婦はいったいどのように〝変化″するのだろうか。
私は、現代の家族は大きく分けて十五年周期で変化しているのではないかと恩う。
夫婦十五年周期説なのであるが、最初の十五年は新婚から育児の終わりまでで、だいたい主婦が二十五歳から四十歳まで。
毎日が育児、子育てと子供中心の生活となり、この時代の住居は「保育型」といえる。
次に四十歳から五十五歳までの、子供が成長して結婚するまでの家庭。
夫は社会的地位も向上し、職場では部下も多くなり、来客も増える。
となれば、いわば大人の家族の住まいが求められる。
これを「社交型」住宅と名づけよう。
主婦の社会的交流も盛んであり、この頃の過ごし方によって老後が楽しくも寂しくもなる。
そして、夫が定年退職も近い五十五歳以後のいわゆる老後の生活となる。
今や人生八十年時代、老齢年金の支給開始年齢も六十五歳になろうかという時代である。
五十五歳を老後と呼ぶのは気がひけるので、退職後と言い換えてもよい。
子供たちを巣立たせて、夫婦二人だけの生活となる。
この時期、住まいも夫婦でいたわり合う「養老型」住宅となる。
企業の定年規定は六十歳以上へと延びつつあるが、このようにだいたい十五年ごとに家族は変化し、必要とされる住まいのタイプもそれぞれ異なる。
これでは二十代で建てた家は、その後、二度は建て替えをしなければならないということになる。
ここが欧米の夫婦と違うところだ。
彼らは、家族の形態が変わっても、夫婦としては最初から最後まで一貫して〝ハニーとダーリン〟なのである。
ただ年を取るだけで、夫婦の問には大きな変化はない。
子供が生まれても、子供を送り出しても、変わらずに夫婦を続けるのみなのだ。
だから、住居の中心スペースは最初から夫婦のために取られている。
家族を優先する日本の夫婦は、子供が手から離れる第一期「保育型」の末期と、夫が会社優先の第二期「社交型」の末期に、ふっと危機が訪れやすいのである。
そうならないためには住まいづくりの考え方も、欧米のような夫婦中心型に変える必要があるのではなかろうか。
元は他人同士の夫婦住まいづくりでは家族を一つの単位として考えないと言った。
夫と妻、そして親と子供の個々の集まりとして考える。
同居住宅なら親夫婦と子夫婦に分解する。
では最小単位の夫婦はどうだろう。
もちろんこれも夫と妻、個と個のつながりだ。
夫婦については親子よりももっと厳しく、〝元は他人同士の同居″と定義づける。
「私たちはそんな関係ではないわ」などとおっしゃっても無意味である。
事実は事実なのだ。
ここで建築家側がひるんで「私たちは仲良し夫婦」などという言葉に惑わされて、夫婦を一つの単位と考えて住まいをつくってしまったら、大変なことになる。
ここが設計者としてつらいところなのだ。

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